Nature Around Takarazuka

兵庫県宝塚市周辺の自然や、川柳などの雑記帳

行者山のマツグミ

 旧Yahoo!ブログで、繰り返し取り上げてきた木の一つに、行者山のマツグミがあります。アカマツの低木に付いています。

 マツグミとは、オオバヤドリギ科マツグミ属の常緑低木で、マツやモミなどの針葉樹に半寄生します。光合成は自力でしていて、水分やミネラルなどを、宿主から貰っています。

 

 過去の写真を、その行者山のマツグミの紹介がてら並べてみます。

 

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ツグミ1 2017年1月 兵庫県宝塚市

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ツグミ2 実(未熟) 2017年1月 同上

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ツグミ3 花 2017年7月 同上

 植物というのは不思議なもので、一個体見つけると、それまで目に入らなかったものが次から次へと見つかったりします。私にとってのマツグミは、まさにその例でした。この行者山のマツグミを見つけて以降、逆瀬台の住宅地内や、ゴルフ場などで、たくさん見つけることが出来ました。ブログ記事にしたことで、コメントで情報をいただき、宝塚神社内のにも会えました。また、中山寺奥の院のモミの木でも、見つけました。

 ただ、数多くのマツグミを見つけはしたものの、そのほとんどは高い位置にあり、詳細な観察が出来ないという難がありました。そういう意味で、私の腰より低い位置にある、行者山のマツグミは貴重だったのです。

 

 そんなマツグミが、昨年秋ころから弱りだしてしまった。宿主のアカマツの葉の黄変が目立ち、常緑であるはずのマツグミもどんどん葉を落とし、ほぼ丸坊主状態に。

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ツグミ4 2019年3月 同上

 今年の三月で、この状態。こりゃもうダメ、諦めるしかないと思いました。宝塚市周辺では、マツ枯れも増えているような気がしています。ザイセンチュウによるものかどうかは分からないけど、公園でも、山中でも、枯れているのが多く見つかります。マツが弱り枯れると、マツグミも枯れるのは仕方ない。マツグミ受難時代が来るのかもって思ってました。

 ところが、今月に入り・・・

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ツグミ5 2019年5月 同上

 

 おおっ! 新葉が出てました! 全ての枝からではないけど、死んだと思ってた枝から、奇麗に葉が出てます。宿主のアカマツも、青い葉を出してます。これは嬉しかった。

 現状、完全復活が始まってるのか、最後のあがきなのか、私にはよく分かりません。未来は分からないけど、こうやって生命力を見せてくれると、二年以上この木を見続けてきた人間としては、嬉しくてたまりません。本来なら、今は実が熟す時期なのに、実は皆無。でもいいんです。この夏、いや来年でもいいし、また真っ赤な花を見せてくれる可能性が残ったわけで、行者山を歩く楽しみが増えました。

 

 同じ木をずっと見続ける。そんな低山歩きが面白いのです。