Nature Around Takarazuka

兵庫県宝塚市周辺の自然や、川柳などの雑記帳

信念(川柳、その66)

 今、また昆虫に関する本を読んでいます。面白い。

 私は自然全般が好きだが、中でも一番好きなのは植物である。しかし、本を読むとなると、植物関連の本ってあまり面白くない。昆虫関連の方が、圧倒的に面白いと思う。

 基本的に、大人向けの昆虫本の構図は単純である。世間の大半の大人は虫が苦手だけど、著者当人は大好き。その狭間で揺れ動く著者の心や苦労が底流にある上で、未知なる自然界の魅力が描かれるから、読み手としてより面白く感じられるのだ。少なくとも、中途半端な昆虫好きの私にとっては。

 登山家が書く文章ってのも、私はほとんど苦手なのだが、植村直己の本は例外的に面白かった。彼も、「登山なんて・・・、冒険なんて・・・」という世間の目を、心のどこかで気にしつつ文章を書くから、登山家ではない私でも読めるのだと思う。自己陶酔型で信念の登山家の文章なんて、読めたもんじゃない。

 その点、植物の本ってのは、難しいんだよね。例えば、私は50歳のオッサンだが、「植物が好き」と人に話しても、特に反応がないのだ。これが「昆虫好きです」と言ったら、「えー!」とか、「いい歳をして」とか、何かしらの拒絶的反応があると思うのだが、植物の場合はそれがない。本当は拒絶されないことは歓迎材料なのだが、面白い文章を書くという点では、反発を原動力とすることが出来ないのだ。世間的に雑草は嫌われているとされるので、そこを逆手にとっての雑草の魅力を語る植物本は何冊も出ているが、文章としての面白みはさほどではない。

 結局のところ、植物って、良くも悪くも、あまり興味を持たれていないのだろう。昆虫に比べると。そんな中で、どうやったら面白い植物に関する文章を書けるのだろう? そんなこんな、あれこれ考えさせられる昆虫本は、やっぱり面白い。

 

 

信念の人が苦手で雲が好き