Nature Around Takarazuka

兵庫県宝塚市周辺の自然や、川柳などの雑記帳

読書「愛して育てるいきもの図鑑」など三冊

 

今泉忠明監修「愛して育てるいきもの図鑑」

愛して育てるいきもの図鑑

愛して育てるいきもの図鑑

 

 

 前回の読書感想記事で、今泉先生の自伝を取り上げました。その続きとして、本書を借りて読了。

 いろんな動物たちの、いろんな子育てのエピソードを短く簡潔にまとめ、羅列したのが本書。すっとぼけた絵がとても可愛くて、あっという間に読んじゃった。強烈に個性的な子育てであっても、根底にある親の目的には共通点がある訳で、「へえ」「ほお」と読み進める内に、生き物全体に対する理解が深まるように思えます。子供向けだけど、子供だましじゃなく、大人も楽しめる。

 

 悪口になっちゃうが、少し前に、ヒドイ子供向き生物本を読みました。語尾を「だぞ」や「だぜ」といった馴れ馴れしいものに変えたら、子供向きになると思ってるらしき著者が書いたもの。

 子供向けの本ってのは、そんな安易なものじゃないはず。その道のプロは、やはり努力や工夫を積み重ねているので、簡単には真似できないと、今泉先生監修本は教えてくれます。

 

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 北尾トロ著「晴れた日は鴨を撃ちに:猟師になりたい!3」

晴れた日は鴨を撃ちに 猟師になりたい! 3

晴れた日は鴨を撃ちに 猟師になりたい! 3

 

 

 シリーズ三作目。松本に移住し、突如、鳥撃ちの猟師になった第一作は、素人が免許を取る過程など、とても興味深く読めました。第二作目は、猟師仲間との関係が面白く、続編として楽しめましたのを覚えてます。しかし、この第三作目は、特に猟師として成長したわけでなく、新展開もほぼないし、惰性という感じ。平易な文章と、トロさんの人柄から、読んでつまらない事はないんだけど。

 ただ、これって書き続ける事に意味のあるシリーズだとも思う。野鳥の動向は毎年変化するだろうし、高齢化の進行による猟師社会の変化もあるだろう。彼が猟師を始めて以降、ジビエブームもあり、猟に対する一般の目が変わってきたことを実感されている点は、面白かった。そんないろんな変化を、書き残し、伝え続けてほしいものです。

 

 

宮崎学著「写真ルポ イマドキの野生動物:人間なんて怖くない」

 

 7年前の本だから、少し古いけど、内容は古びていない。写真も、驚きで息をのむようなものばかり。 素晴らしい一冊だった。

 様々な獣害について、実情を生々しく見せてくれたあとの、エピローグの文章。

では、野生動物と向き合うにはどうすればよいのか。何よりもまず、身のまわりの自然に対する「無関心」な態度を、いますぐやめなければならない。

 これは、永遠に有効な知見だと思います。都会の人は、獣害がニュースになったら騒ぐだけ。一方の被害にあわれる農家の方も、意外に野生動物について知ってないことが、本書ではしばしば語られています。売れない果物をその辺に捨てて、結果的に餌付けして動物を呼び寄せている点に気付いてない、とか。

 とても考えさせられるだけでなく、次に何をしたらよいか、その方向性も提示してくれる貴重な本でした。実態を見続けている人は、すごいです。宮崎さんの本、まだまだ読んでないのがあるし、私もさらに勉強しなくっちゃ。