Nature Around Takarazuka

兵庫県宝塚市周辺の自然や、川柳などの雑記帳

あなたみたいにはもうなりたくない

 オッサンである私は、若い女の子が好きだ。

 才能ある若い女の子が、大好き。

 でも、才能のありすぎる女の子は・・・ちょっと怖い。

 

 今、洋楽の世界は、ビリー・アイリッシュという17歳の女の子の話題で持ち切りである。私も遅ればせながら流行りに乗って、彼女の曲をYoutubeで聴いてみているのだが、ちょっとだけ怖い。

 彼女はホラー好きだそうで、その方面の歌詞もあって、それが怖いってのもあるんだけど、別のハラハラしてしまう部分に、私自身の心が強く感応してしまう。

 


Billie Eilish - idontwannabeyouanymore (Vertical Video)

 

 一番気になるのがこの曲。気になって気になって仕方ない。最初は他の曲も聴きはしたが、今はこればっかり繰り返していて、私の中ではBillie Eilish = idontwannabeyouanymoreになってしまっている。Wish you were gayとか、Lovelyなんかも好きなんだけど、やっぱりこれに戻ってしまう。たぶん、正しい彼女の理解法ではないのだろうが、どうにも止まらない。

 最近のミュージシャンの書く曲には、有名になることへの恐れや違和感がテーマになっているものが複数あるが、これもその感覚がベースにあるらしい。そこでの自己嫌悪など不安定さを、鏡の中の自分とやり合うことで表現している。「あなたみたいにはもうなりたくない」と鏡の自分に向かって言うのが曲のサビ。少し自傷的なニュアンスもある。

 15歳頃の作品だが、その年齢の女の子が心の内をさらけ出して来たら、オッサンは自分の過去の引き出しをちょっと開けて中を確かめながら、黙って、ハラハラしつつ見守るしかない。

 

 和訳をしてみたいのだが、数か所よく分からぬ部分がある。和訳してあるサイトも見たけど、疑問がいくつか残ります。

 一つ一つの言葉を文法に則って理解しようとしている私の方法論が、そもそもが間違っているのかな。私だって高校生の頃、自分が大嫌いになってモヤモヤした気分の中で、愚にもつかぬことを自分自身に語り掛けていた。理屈なんかなかった。そして今思うと、すごく危なっかしかった。そんな気分のかたまりを、聴き手に届けたいだけの歌詞なのかも。だとすると、私レベルの言葉の使い手が、無理に訳など試みぬ方が良い。同世代の女の子が思いっきり意訳してくれた方が、感覚的に掴みやすいはずだ。

   

 才能がありすぎて怖いと書きました。でも、音楽活動は実兄と共にされているし、インタビューでは両親について語ることが多い様に、家族関係という根の部分は現状しっかりされているようです。そこの安心感があるから、怖さの部分も比較的穏やかに受容できる気がします。少なくとも現時点では、破滅型天才の匂いはしません。不幸な生い立ちを背負い、社会や身勝手な家族に翻弄されておられる女の子が、こんな歌詞を書いていたら、私のような人間は怖気づいてしまうのだが、その点は大丈夫そう。 

  だから、彼女がどんな大人になるのか楽しみにしつつ、私もまだまだ掘り下げて聴いていきたい。揺れ動きながらも、間違ってない方向に進んでくれると信じて。